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「ラブトーク」、愛の前にもじもじするやるせなさ
サニー(ぺ・ジョンオク扮)はアメリカ・LAで男の体を触りながら生きて行く。彼女が経営するマッサージショップは生活の基盤であると同時に逃避先だ。

愛していると夜遅く訪ねて来て告白する男がいるがサニーは着の身着のまま承諾するだけだ。

男は心を開かない女に疲れていく。ヨンジン(パク・チニ扮)は大学院で心理学を学んでいる学生だ。
一方深夜のラジオ番組である「ラブトーク」のDJヘレン・ジョンでもある。彼女は他の女と出て行った父と一人きりで暮す母、そして既婚の男のベッドのそばで徘徊する。他人の愛に対して忠告はしても、いざ当の自分の愛に対しては誰かに打ち明けた事がない。
チソク(パク・ヒスン扮)は工科大に通った。しかしLAで友達のビデオ店で働いている。8年前別れた恋人ヨンジンにそこで会うとは思いもよらなかった。再会したヨンジンは以前とは違う姿だったが心の余韻はまだ残っていた。しかしふたつは相変らずもじもじして自分の心を素直に言うことができない。

映画「ラブトーク」は心の門の前でもじもじしている人々を扱った映画だ。サニーとヨンジン、そしてチソク。三人の主人公はLAという異国で各自の人生を生きている。しかし彼らはある瞬間お互いに直・間接的にかかわりながら一つの空間で会うようになる。そのでくわした空間でお酒に酔った対話が行き来する。しかしその対話の中でも本心は見せない。心の扉を開いた過去が彼らの傷になって深く残っているからだった。

「女、ジョンヘェ」で只事ではないデビューをしたイ・ユンギ監督の新作「ラブトーク」は彼の前作と同じく無表情な日常の中に隠された人物たちの心の傷を扱っている。すなわち「ラブトーク」というタイトルと違って映画は愛に対して言葉を述べない。映画は愛による感情の激変を扱うより疎通の前提条件である心の開閉の問題に集中する。

三人の主人公たちは相手とちがうことに震えを感じるがこれらはずっともじもじするだけでもう一歩を踏み出すことができない。彼らは三角関係でもなくてお互いに感情の結実を結ばない。
息苦しい位に言葉を惜しむ主人公たちは結局各自の人生に寂しく帰る。相手の扉の前でもじもじするが自分だけの人生に帰っていくにはどのくらいかかるのだろうか?日常の中の数多くの縁がそのように過ぎ去って行きまた忘れられてしまうことを私たちは知っている。いくら愛について話を交わしたところで満たされない個別のさびしさを私たちは抱いて生きて行かなければならないという事実も拒否することができない。
映画「ラブトーク」で投射された私たちの縁の風景はそれで寂しく感じられるしかなかった。
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