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『自由が丘8丁目』:モリの旅行に関する3つ
モリの恋
ホン・サンス監督の16本目の長編映画『自由が丘8丁目』は、非常に特別なラブストーリーだ。日本人のモリ(加瀬亮)は、想いを寄せる女性クォン(ソ・ヨンファ)を訪ねてソウルの北村韓屋村にやってくる。モリはクォンをこの世で最も素晴らしい人だと話す。誰かを愛しているという表現をこんな風にするなんて本当に美しい。

しかし残念なことにモリはクォンとはそう簡単には会えない。モリはその間他の人々と関わるようになる。カフェの女主人ヨンソン(ムン・ソリ)とは親密に温かく共感し、愛情までも感じるようになる。ゲストハウスで知り合った親切な女主人(ユン・ヨジョン)、気が置けなくて情の深いサンウォン(キム・ウィソン)とは親しい友人となる。ある見知らぬ女性(チョン・ウンチェ)を一時注視したりもする。

この待ちぼうけの末に果たしてモリはクォンと会うことが出来るのだろうか。今はこんな風にだけ話しておきたい。モリの恋は映画で最初から最後までずっと切実で、ある場面では我慢できずじんとしながら時に奇跡は彼を待っている。

モリの俳優
『自由が丘8丁目』で主人公モリ役を演じた人は、日本の俳優加瀬亮だ。説明の必要がない日本映画界のスターだ。クリント・イーストウッド、アッバス・キアロスタミ、ガス・バン・サントなど世界各国の著名な監督と共に仕事をしてきた世界的な俳優でもある。

もちろん彼はホン・サンス監督の長いファンでもある。彼が『自由が丘8丁目』を終えた直後、こんな風に話した。ホン・サンス監督との作業が、今までした自分の作業の中で最も記憶に残るとし、魂の時間を一緒に過ごしたみたいだと話した。だとしたら『自由が丘8丁目』を見て皆さんはこんな風に答えたくなるだろう。

『自由が丘8丁目』で加瀬亮の演技は、我々が見てきた彼の演技の中で最も記憶に残るだろうということだ。加瀬亮はモリという人物を堂々としていながらもほんのりと、鋭いながらも親切な神秘的な人物に作りあげている。我々はすでに『3人のアンヌ』でホン・サンスとイザベル・ユペールの協演を見たことがある。ホン・サンスと加瀬亮の協演がそれに劣らず、いやそれよりももっと美しいということを確信をもって言う。

モリの時間(夢)
『自由が丘8丁目』の形式は本当に独創的だ。難しくはないが独創的ということが、いつも我々を楽しませてくれるホン・サンス監督映画の珍貴な価値だ。今回も彼は我々をこの上なく楽しませてくれる。『自由が丘8丁目』でストーリーが一直線に進むことがない。我々は時間の順序が前後に入れ変わっているということを感じる。

現実と夢の区分も、ある時から曖昧になる。映画の中でモリはヨンソンに、時間は過去と現在と未来に正確に分けられるようなものではないと話す。一方モリを通じ我々は、夢と現実ははっきりと分けられないという真実を経験する。

『自由が丘8丁目』は、時間と夢に対する我々の固定観念を見事に気分良く剥がす珍貴な経験になるだろう。どうしてそんなことが可能なのかと問うのなら、こんな風に答えたい。モリの時間、モリの夢を経験してみて下さい。
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