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浜辺の女 (해변의 여인)
[映画観覧前]
俳優の好感度―キム・スンウ、コ・ヒョンジョン★★★☆
予告編の好感度★★★☆

海辺に遊びに来た男二人と女一人。彼らの関係は三角形を成しているが、いつの間にか均衡が崩れる。映画監督ジュンレ(キム・スンウ)は、後輩の美術監督チャンウク(キム・テウ)の恋人ムンスク(コ・ヒョンジョン)に一目ぼれしてしまった。離婚暦のあるジュンレは、チャンウクがいない隙にムンスクに自分の感情を突きつける。

ホン・サンス監督の7作目の映画『浜辺の女』(製作 映画社ボム)は、日常の偽善と卑しさを一つ一つ暴くホン監督特有の同語反復を放棄した映画ではない。しかし以前の作品とは明らかに違っている。映画の舞台になる西海岸の様子のように、ゆったりとした気楽な感じが映画を覆っているからである。

ジュンレとムンスクが一晩を過ごすまでの展開は、まるでロマンティックコメディーを見ているように軽快に流れていく。ムンスクは「キスをしたから当然恋人」と考えるウチャンウクとは違う。ジュンレとムンスクは、互いに寝てみなければ恋人とはいえないと、意見が一致している。結局チャンウクは後方に押しやられ、ジュンレとムンスクは恋人コースに侵入する。

映画は寝る直前「愛してる」と言うムンスクと、「好きだ」と言うジュンレの隙間を見せ、ホン・サンス映画の特性を現し始める。男女関係の偽りの意識と幼稚な内情を一つずつ広げておき、観客に「我々はみんなこのような俗物ではないのか」という質問を投げかける。

しかしその質問が前作でのように、ダイレクト、または露骨ではない。代わりに食い違いを繰りかえす人物のセリフや行動は、終始一貫して失笑を買う。

ホン・サンス監督は、依然として人々が「隠したくもあり、さらけ出しもしたい本心の二重性」への卓越した観察力をアピールしている。幸いにも?『浜辺の女』では、本心の二重性へのホン監督の視線が柔らかくなった。

『豚が井戸に落ちた日』や、『オー!スジョン』よりは、『生活の発見』の延長線上にある『浜辺の女』は、主人公の“同床異夢ロマンス”を標榜する映画らしく、ロマンスで包まれたオスとメスの赤裸々な関係を見せない。ただ慇懃に迂回的に、ロマンスの裏面の男女間バランスシートを観客にポンと投げかけ、甘くもよそよそしい後味を残す。

国際的な知名度と映画界の評価とは違い、ホン・サンス監督の映画はこれまで大衆に大きな歓声を浴びてこなかった。しかし『浜辺の女』は、仮にホン監督の作品に関心がない観客でも、キム・スンウ、コ・ヒョンジョン、キム・テウ、ソン・ソンミなどの主演俳優の演技に、充分に醍醐味を感じるだろう。


スターではない役者として、我々の周辺にいる日常的な人々のように近寄ってくる彼らの姿は、“自然だ”という言葉がぴったりである。もちろん俳優のその自然な感じを引き出すホン・サンス監督の能力は、やはり名不虚伝である。


[観覧後]
俳優の好感度―キム・スンウ、コ・ヒョンジョン ★★★★
映画の好感度 ★★★★





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