Home > ムービー[映画] > Dr.Movie 自由コラム > 映画『リアル』(리얼、REAL、2016)について

映画『リアル』(리얼、REAL、2016)について
アジア最大規模のカジノをめぐる巨大な陰謀と戦争

「私にそっくりな奴が現れた」

カジノのオープンを控えていた組織のボスチャン・テヨン(キム・スヒョン)の前に
暗黒街のゴッドファーザーチョ・ウォングン(ソン・ドンイル)がカジノの所有権を主張しながら現れた。チョン・ウォングンの介入でカジノを奪われる危機に瀕したチョン・テヨンは資金問題を解決するため投資家を探した。ある日、名前だけでなく見た目さえ謎に包まれた投資家(キム・スヒョン)が現れて資金はもちろん、チョ・ウォングンの件まで解決してあげるという提案をする。謎の投資家の登場でチョ・ウォングンとカジノを手にするための戦争が始まり、これらをめぐる巨大な秘密と陰謀の正体が徐々に明かされていった。本物だけがすべてを手にすることができるのだ。

俳優キム・スヒョンとソルリが映画『リアル』を通じて大胆な演技を披露した。ソルリの場合、この映画で関心を受けたのは露出のためだった。キム・スヒョンは、1人2役で苦労しながら優れた演技力を披露したが、蓋然性のない設定と見慣れない編集テクニックは、批評家から高く評価されなかった。

キム・スヒョンが映画『隠密に偉大に』以来4年ぶりのスクリーン復帰作ということで注目された映画『リアル』は、大規模のカジノをめぐって実業家と暴力団の勢力闘争を描いたアクションノワールだ。だが、従来の男性的なノワールというより解離性同一性障害(多重人格)の男主人公がアイデンティティを探すことに集中するサイコドラマに近かった。

サイコドラマは人間の存在を掘り下げ、彼が置かれた環境の現実的な側面を探求する科学ジャンルだ。心理劇とも呼び、主人公が自身の問題を言葉と行動で表現するもの。

キム・スヒョンが演じたチャン・テヨンはカジノを所有する喧嘩の強い富豪のビジネスマンだが、その中にルポ記者チャン・テヨンと呼ばれる別の自我が息づいている。この二人は、自分が本物だと主張しながら、互いの人格を抹殺しようとする内容が主だ。

序盤から目を引くイルミネーションと特殊効果は、もっともらしいが映画は素晴らしい画面だけでは完成できない。限りなく粗野な人物関係図は、映画を見るために劇場を訪れた観客を全く集中できなくして退屈させる。

また、ソルリとキム・スヒョンの正当性のないベッドシーンや露出シーンがよく登場してアクションノワールジャンルという色彩はさらに薄れていった。
「かなり新しい、ユニークな色彩の映画」と言った監督の言葉のように一言で説明できない映画であることは確かだ。

このような悪条件にもかかわらず、キム・スヒョンは、どんなキャラクターも制服を着るように変身して大衆に信頼感を与えた。すでに検証さているが、常に努力する俳優としての限りない演技への情熱が再証明されたわけだ。

ストーリーは覚えていなくても分裂した自我を演じる彼の眼差しはまだ脳裏に生き生きと刻み込まれている。絶望の奈落に落ちるチャン・テヨン役のキム・スヒョンが、耐えられない怒りと苦痛に身震いする極限の感情を切々と描いた。キム・スヒョンの1人2役演技が『リアル』唯一の観戦ポイントのようだ。


主演:キム・スヒョン、イ・ソンミン、ソン・ドンイル、ソルリ(チェ・ジンリ)
助演:チョ・ウジン、キム・ホンパ、チョン・インギョン、チェ・グォン
監督:イ・サラン
脚本:イ・ジョンソプ
配給:CJエンターテインメント

戻る