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韓国社会の暗部を赤裸々に描いた映画『殺してあげる女』
映画の背景は鐘路にあるタプゴル公園と梨泰院。主人公は、鐘路一帯で老人たちを相手にしてやっと暮らしている65歳の“バッカス婆さん”ソヨンだ。主人公ソヨンは鐘路を徘徊する老人たちの間では“死ぬほど上手な女”と噂され、バッカス婆さん(老女の売春婦)らの中で一番人気がある。

映画の中で観客はトランスジェンダーの家主ティナと障害を持った貧しいアダルトフィギュア作家ドフン、そしてソヨンが性病を治療するため立ち寄った病院で出会い、とにかく連れてきたフィリピン人との混血少年ミンホに会う。ソヨンはこんな隣人たちと一緒に大変だけど平和な日々を過ごす。そうした中、一時自分の常連客だったソン老人が脳卒中で倒れた。そしてソン老人から自分を殺してくれという切実な頼みを聞いて罪責感と憐愍の間でさ迷いながら彼を本当に“殺してあげる”ことになった。そのことがきっかけで、生きるのが辛くて死にたい顧客の頼みが相次ぎ、ソヨンはより深い混乱の中に陥るようになった。

女優ユン・ヨジョンが演じたユン・ソヨン(ヤン・ミスク)というキャラクターは、男たちの戦争によって家政婦、工場、洋公主(外人相手の娼婦)、バッカスおばさんに至ったが、社会的暗部を無視せず積極的に抱えて生きていく素敵な女性だった。だが、後で訊いたらユン・ソヨンに改名した時、すでに死んだも同然で、養子に送った息子に対する罪責感で一生を送ったのだった。監獄で死んだ後、安置されたヤン・ミスクが現れた時、観客はむせび泣いた。

主演を務めたユン・ヨジョンは50年目のベテラン女優。今年で70に手が届く年齢の女優ユン・ヨジョンは自分の演技人生で映画『殺してあげる女』を撮影する間、一番恥ずかしくて辛かったと告白した。何故なら、この映画は韓国社会の恥部と個人の恥部を手加減せずに赤裸々に描いたからだ。100年余り前、近代化の象徴だったタプゴル公園とあらゆる国から来た外国人と入りまじって住む梨泰院という町で生きていく娼婦の老年の物語を通じて今日の韓国社会の断面を見せた。

映画『殺してあげる女』は第20回モントリオールファンタジア国際映画祭で脚本賞と主演女優賞の受賞をはじめ、第66回ベルリン国際映画祭、第40回香港国際映画祭など世界有数の映画祭に招請されながら海外で先に注目を集めた。映画『殺してあげる女』は生と死を売る女という大胆な素材とドラマで今日を生きていく観客に新しい映画的価値、そして生と死に対する話の糸口を投げかけた。

監督:イ・ジェヨン
出演:ユン・ヨジョン、チョン・ムソン、ユン・ゲサン、パク・ギュチェ
制作: 韓国映画アカデミー(KAFA FILMS)
配給:CGVアートハウス

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