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映画『古山子 大東輿地図』 を評する。 
本当に良い映画、よくできた映画だが、つまらない映画だ。
ドラマチックな映画を期待しながらこの映画を観たなら、失望するだろう。 だから、この映画の興行はあまり明るくないという展望だ。  
だからと、この映画が全く出来が悪いというわけではない。 よくできた映画だが、つまらないのだ。
この映画がつまらない理由は3つ。
1つ目は、シナリオがまとまっていないこと。 何というか…成功しない映画の共通点は、粗雑だということ。 善と悪、暗と明の対決が時代劇が成功するための必須要素なら、対象(contrast)と反転だけがドラマチックな感動を与える。 しかし、この映画は観客が観る前に想像する以上でも以下でもない倉庫タイプの売り場に入って並べられたキャラクターをショッピングして決められたコースでカートに物を入れ、レジを通り抜けるように映画の劇的な感動を無視してしまっている。 例えば、シナリオ作家はキム・ジョンホの反対側に絶対悪として権力または大院君がいなければならなかった。 しかし、このシナリオの作家は絶対悪でなければならない権力者を憎むことができなくして、主人公を単純に時代の犠牲者にしてしまった。

2つ目は、監督の時代的トレンドを見る視覚の限界のせいだ。 カン・ウソク監督の年齢とコードを見ると、この作品の中に彼の変わらないカラーが溶け込み、今の観客とは顕著な世代差を見せているということ。 かれのコードは、過去になら通じるオールドトレンドだ。 90年代と2000年代を代表した映画人カン・ウソク監督は、この映画『古山子』では、観客と全く交感できていない。 観客を泣かせ、笑わせる能力をすでに失ったと言えるだろう。

3つ目は、主演俳優の配役が相応しくないこと。 俳優チャ・スンウォンは、モデル出身だ。 彼は、現代を舞台にするドラマやバラエティ番組ではファッション感覚があり、トレンディに頭角を現すことができた。 しかし、ドラマ『花井』でも見られたように俳優チャ・スンウォンは、時代劇には相応しくないというのが一般的な評価だ。 キャラクターに対する強い集中力が必要な時代劇に、現代劇でこそ通じるような粗悪な演技で、映画の主人公のキャラクターをちゃんと消化できなかった。 筆者の私見だが、いっそ大院君役を務めたユ・ジュンサンとチャ・スンウォンの役が代わっていたら、どうだろうかと思う。 俳優ユ・ジュンサンの深みのある演技は、粗悪だったチャ・スンウォンの演技とは克明に対比される。 だから、主人公の古山子キム・ジョンホの執念のある生き方が、戯画化された感じだ。 結果的にこの映画の主人公は、大院君だった。  

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